2011年8月31日水曜日

何故・・泊3号機営業運転差し止め訴訟なのか

「どうせもう希望なんかない」と語る子どもたち

大人が真剣に立ち向かう姿をなんとしても伝えたい

Shut泊  泉かおり

福島第一原発事故から五か月がたっても、その収束が見えず、高度の放射能で事故原因の検証も困難なまま、放射能汚染が全国に広がっています。福島から630km離れているから大丈夫と言っていた北海道大学の島津洋一郎 ()、杉山憲一郎教授らの言葉とは裏腹に、私たちの住む北海道でも、基準値を超えるセシウムを含む牛肉が食卓にのり、道東の浜中町で、肉牛に与えられる稲わらからも高度のセシウムが検出されました。毒物学者のジャネット・シャーマンは、原発一機が爆発すると、地球の半分が放射能に汚染されるといっています。今、私たちが今体験しているのは、正にこれです。

事故当事国なのに無責任と無関心が続く日本

福島第一原発事故が起きてすぐに、ドイツでは、3月26日、25万人デモが行われ、国内の原発をすべて停止させました。3か月間かけて、全ての原発の検査が行われることとなり、飛行機が落ちた場合、テロ攻撃を受けた場合などを想定しての検査が行われました。非常時の全電源喪失時には、72時間の非常電源を確保することが、新たな原発安全対策として検討されています。あのベルスコーニのイタリアでさえ、90%の反対票で、原発建設の計画が止められました。80%の電力を原発に依存するフランスでも、福島第一事故後調査では、77%の国民が脱原発を望んでいることが報告されました。

このように福島第一原発事故が、ヨーロッパ市民を動かし、原発政策の舵を大きく切り換えていたその時、北海道新聞が行った道民意識調査では、脱原発を望む人はたったの50%でした。原因の解明もされぬまま、新たな安全対策もなされずに、斑目春樹をはじめとする原子力村住民たちは、責任も取らずに、無責任な言動を続けています。福島から何度も20mSVの撤回交渉に駆けつけた親たちに会うことも拒否して、

政治家たちは、権力争いに夢中です。つい最近、経産省が過去4年間にわたって、

1億3000万円という国民の血税を使って、東電の会長をはじめとする電力会社の役員たちが理事を務める財団法人に、原発情報の監視を委託してきた事実が報道されました。九州電力や中国電力などの電力会社のみならず、佐賀県知事や保安院がやらせの指示を出していた事実も、次々と明らかになってきました。自民党への寄付の70%が電力会社役員からの寄付である事実、民主党もまた電力会社から寄付をもらい、北海道知事が北電の役員から寄付を受けていることも、再度、明らかにされました。

同時に、賠償金支援法の成立で、事故を起こした東電に助け舟を出す一方で、被災者には賠償金に上限を設け、自主避難者は賠償の対象にはされないことが決められました。そして、あっという間に原発メディア情報監視法も可決され、広告代理店のアサツーディ・ケイ(ADK・東京)が約7000万円で落札し契約が決まりました。これも国民の税金です。北海道では、今月中に泊原発4か町村全戸対象に防災計画に関するアンケート調査をすることになっていると報道された直後、「民意の多数が原発の安全対策に不安を表明したら、泊3号機の営業運転再開に影響を与えることになるかもしれない。道はこれに責任を取れるのか!」と自民党が「声を荒げ」アンケート調査は延期になりました。国は、福島の子どもたちに、原発作業員並みの被ばくをすることを強制して見殺しにし、福島県庁は県外でのサマーキャンプの企画までつぶし、福島からの避難者を受け入れないように受け入れ先の自治体に呼びかけまでしている事実も発覚しています。

背中を押してくれた子どもたちに未来の希望を

何故、日本の大人たち全員が怒りを表明して、行動しないのか、私にはわかりません。54基もの原発と核廃棄物、半減期が2万4千年のプルトニウム汚染の遺産を子どもたちに押し付けて、その上に、まだ懲りずに原発を再稼働させようとやっきになっている、そんな政府しか持てなかったことを、おとなの私たちは子どもたちに対して、まず謝罪しなければならないと思います。

先週、札幌の大通公園4丁目で座り込みをしながら、チラシをくばっていたとこのこです。高校生の男の子たちのグループが通りかかりました。呼び止めて、原発のことを話しはじめたところ、こんな答えが返ってきました。「どうせ、皆、死ぬんだから、原発なんかどうでもいい。」

私たちの脱原発仲間の川原さんは、札幌の現役の高校教師です。3月11日以来、放課後も、土日も、夏休みもすべて返上して、原発出前授業に飛び回っています。川原さんはブログにこんな書き込みをしました。

***************

「先日、ある大学で原発の出前授業をした後に、学生たちに書いてもらった感想文の中にも、このような声を聞くことができます。

「もう原発の話なんか聞きたくない!原発について知ったからといってどうなるの?」「どうせもう希望なんかない。日本は終わってるんだ!」

ほとんどの子どもたちは普段、このような未来への不安や大人への不信の声を上げることはありません。なぜなら、それを言ってもどうしようもないということを、よく知っているからです。もしそれを大人たちに伝えたとしても、その声にしっかりとした言葉を返してくれる大人がいないことを知っているからです。いま起きている原発と放射能の問題にきちんと対応ができていない大人の姿、これからどうするかという見通しもビジョンも提起できない大人の姿を、子どもたちはしっかりと見ているのです。そんな子どもたちに、わたしたち大人は何を語り、何をすればよいのでしょうか? まずは、原発と放射能について本当のことをしっかりと子どもたちに伝えること。そして、いま起きている原発と放射能の問題について、しっかりと取り組むこと。そして、これからの日本のエネルギー問題と未来の社会像についての見通しとビジョンをしっかりと提示して、それに向けての努力を始めること。これらに立ち向かっていく大人の真剣な姿を見せることでしか、子どもたちの未来への希望と大人への信頼を回復することはできないのではないでしょうか。」

***********

私たちは札幌で、3.11以来、デモ、署名活動、要請、交渉、座り込み、と思いつく限りのことをやってきました。そして、8月1日、私たち38人の原告団は、8月1日、海江田経産大臣を相手取って、泊3号機本格運転再開際しとめ行政訴訟を起こしました。今、北海道から福島の事故以来、最初に再稼働する原発を出したくないという思いからです。最後に背中を押してくれたのは、私たち「福島の子どもたちをも守る会・北海道」サマーキャンプに参加している最年少の生後2か月のわかなちゃんの寝顔でした。今、遅ればせながら、今ようやく立ち上がり始めた大人たちの背中を、子どもたちにも見てもらいたいと思います。一人一人が、今自分にできることをやればいいのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿